電卓の計算記録

日常とテレビとその他諸々

ぬねゆぬええてねて【嘘日記】

前回の「サシで刺身を差し出すあの子」事件の次の日の朝の話だ。
吉岡は私にLINEを寄越した。
吉岡は「ぼのぼの」に出てくる「しまっちゃうおじさん」をプロフィール写真にしている。
私は吉岡の個人チャットを開いた。

 

吉岡
「昨日はありがと!」8:10

 

お礼のメッセージだった。
あいつ、頭おかしい割にはそういうところはあるんだな。

 

吉岡
「あ」8:20

 

10分後「あ」とだけ打たれたメッセージが届いた。
打ち損じだろうか。寝ぼけているのだろうか。
まぁ、こんなことは私でもたまにやってしまうことだ。
私は吉岡のメッセージを既読無視し、6世代落ちのiPhoneを閉じた。

閉じた瞬間、また吉岡からLINEが届いた。
こんなに立て続けに送ってくるなんて珍しいな。
そう思いLINEを開き、吉岡の個人チャットをタップする。

 

「あ」8:20

 

まただ。
なんだこいつ。
数秒前と全く同じように「あ」とだけ送られてきた。
気持ち悪い。
もしかしたら「既読無視するな」という圧なのかもしれない。
そうだったらめんどくさいな。
私は吉岡にメッセージを返した。

 

でんたく
「おはよう」
「あと、無意味なメッセ送んな」8:20

 

メッセージは送った瞬間に既読になった。
そして吉岡からまたメッセージが届いた。

 

吉岡
「あ」8:21

 

またかよ!
もう、なんなんだよ。
このメッセージの考察をしてみたが全く分からなかった。
「吉岡のスマホないしLINEがバグってるのかもしれない」
ひとまずそのように自分の中で結論付け、LINEの通知音を切ってiPhoneを閉じた。

 


昼の12時すぎになった。
私は朝、吉岡から送られた謎のメッセージのことなど忘れて昼食を取っていた。
Twitterを確認しようと4時間ぶりにiPhoneを開いた。
電源を入れた瞬間、目を疑う光景がそこにはあった。
iPhoneの通知センターに見たこともない量のLINEの通知があったのだ。
私はそこまで頻繁に誰かとLINEをするタイプではない。
その為、こんな量の通知を見ることは今までになかった。
ホームに戻るとLINEの通知バッチに「5,040」と表示されていた。
うわ、誰だよこんなに送ってきたやつ。
急いでLINEを起動させた。
なんとあの5040件の通知全てはあの吉岡によるものだった。
ドン引き。
吉岡の個人チャットを開いた。
内容は非常に気持ちが悪いものだった。


吉岡
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」
「あ」8:21


吉岡は一分間に21通、「あ」だけを送り続けていた。
これを読んでいる最中も立て続けに送られてきている。
やめろやめろ。
もうこんなの嫌がらせじゃないか。
何かしたかなぁ。
思い当たる節はない。
トーク画面をスクロールし続けるが「あ」だけが並んでいるだけだ。
が、一つ、明らかに文字数が多いメッセージが混じっていた。

 

「つそさな」10:15

 

つそさな…?
なんだ?
なにか意味があるのかもと思い、safariを開き「つそさな」と検索ボックスに入力した。
しかし参考になりそうなものは何もヒットしなかった。
LINEに戻りさっきの続きからスクロールを始めた。
よく見ると「つそさな」と送られた次のメッセージからは、「あ」から「を」という文字に代わっていることに気付いた。
「あ」ならローマ字入力でも、フリック入力でもワンタップで入力できる文字だ。
しかし「を」はローマ字入力にしろ、フリック入力にしろ、入力するのに一操作が加わる。
そんなことを考えても何も解決しないのは分かっているが、あまりの気味の悪さに色々考察してしまう。
「つそさな」の謎も解けないまま、立て続けに送られてくる平仮名一文字のメッセージに私は嫌気がさし、吉岡のLINEをブロックした。

ブロックしてもTwitterは繋がってるし問題ないでしょ。
大丈夫、だいじょうぶ。
なにかあったらでんわをよこすだろう。
あいつのことだし。
あいつのことって、わたしはあいつのことをなにもしらないが。
あいつ って なにものなんだろう
あいつは よしおか よしおか っけ̜ͪ̅̍̅͂͊ だれだ
あれ わた͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͎͎し なにもしらない な
あいつは た͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͎͎しか 縺ゅ>縺、縺ッ 

あ あ

  

   あ

 

         あ

 あ    あ

 

 

 

 

 

 

                あ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:prograph77:20201106202727j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:prograph77:20201106202755j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:prograph77:20201106203111j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

きょうは なにもない いちにち だった。

 

信じるか信じないかはあなた次第
信あな。

 

おわり