電卓の計算記録

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【エッジ効きすぎドラマ枠】放送時間が変わってしまうので土曜23時半のよるドラ全作を振り返る

深夜ドラマ大好き、でんたくです。

 

NHK土曜夜23時半のドラマ枠「よるドラ」の放送時間が新年度から変わります。
これは由々しき事態です。
放送時間ごときで?と思ったあなた、私にとっては事件です。
土曜の日付変わるギリギリに見る「よるドラ」が大好きだったので月曜夜22時45分に移動した「よるドラ」を愛せるかどうかわかりません。(まぁ本編見ないとわかんないんスけど)

 

というわけで今回は、2019年から始まったよるドラ全部を振り返っていく記事です。
(2018年の植物男子はBSドラマの再放送なので省かせていただきます…)

 

 

ゾンビが来たから人生見つめ直した件

平成元年生まれのみずほ(石橋菜津美)は生きる目標もなく、ただ何となく日々を過ごすアラサー女子。地元の同級生・柚木(土村芳)と美佐江(瀧内公美)と一緒に一つ屋根の下で暮らしている。いつもの朝のいつもの朝食、テレビでは近所の山中の施設が炎上したというニュースが流れるが、たわいのない会話に夢中の3人。その頃、町ではゾンビのようなものが発生し、住人を襲い始めていた。
壊れていく日常、その異変に気づかないみずほは、別居中の夫・小池(大東駿介)と離婚の話し合いをするためファミレスへ向かうが、途中で買い物に寄ったコンビニでゾンビに襲撃されてしまう。
やがてみずほたちの町は、外部から封鎖され無政府状態となる。人々は食料物資のあるコンビニを目指し集まってくる。美佐江と小池が一緒にコンビニへ逃げ込んで来て、みずほは夫の不倫相手が美佐江だったと気づく。
混乱の時間が続く中、彼女たちはスマホでネットにアップされているおかしな動画群に気づく。そこには「ゾンビに〇〇をやってみた」という悪ふざけのようなタイトルが延々とならんでいた。
絶望して生きることを諦める者ばかりでは無く、このユーチューバーのようにチャンスとして人生を一発逆転させようとする者たちも現れ、人々の欲望がいびつな形で噴出しようとしていた。そして、自分は生きることに執着していないと思っていたみずほは、自らが生きる意味に気づいていくことになる…。(公式サイトより)

よるドラ第一弾であり、NHK完全オリジナルドラマ。
これを見せられたとき「NHKドラマの新時代きたな…」と思いました。

ゾンビモノというぶっ飛び設定の中に散りばめられるブラックコメディ。
人間関係の複雑さ、風評被害、災害の風化etc...
放送期間的にも3月11日に近く、フィクションながら現実に蔓延る社会問題にも切り込んでおり、CMを一切挟まないNHKが作れる空気感だからこそ伝わってくるものがありました。

ただ、エッジが効きすぎて途中から見るの難しいかもしれない。
1話完結ではないということもあるけれども、1話からコツコツ見続けて完走してやっと「ゾンみつ」の良さが分かる気がする。
見たい人は是非1話から見て欲しいです。
正直、1話見ただけじゃようわからんです。

最後の最後はすごくB級ゾンビ映画っぽくて「そこはちゃんとゾンビ映画リスペクトかぁ~」となった。

腐女子、うっかりゲイに告る。

主人公・純は、自身がゲイであることは自覚しつつ、「異性を愛し、子どもを作って、家庭を築く」という “普通の幸せ” への強い憧れも持つ。
ゲイであることを隠して同級生・三浦さんと付き合い始めるが・・・。
「ゲイ」「腐女子」という単純なラベリングに抗い「私」と「あなた」として誠実に関係を築き始める純と三浦さん。
二人の姿は葛藤を抱えるクラスメイトや周囲の大人たちの心を波立たせていく。
世間の “普通” と、自分が本当に欲しいもの――。その間のズレで悩んだことのあるすべての人へ。
主人公の愛聴するQUEENの名曲に乗せて疾走する、軽やかで切実な青春ストーリー。(公式サイトより)

原作は浅原ナオトさんの小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」

 
QUEENの曲がいいエッセンスになってるドラマ。
この時は『おっさんずラブ』や『昨日何食べた?』などほっこりするタイプのボーイズラブ系ドラマが流行っていた時期でしたが、このドラマはゲイでありながら同じクラスの女子と付き合い始めた男子高校生の繊細な心の揺れ動きがかなり鋭く描かれているものになります。

純くんと三浦さんの関係性と考え方の変化。
「普通の幸せ」とは何なのか。
「性」と「生」
これも1話から見続けてやっと分かることがあります。

 

劇中で主人公の純くんが「BL漫画なんてフィクションだ」と言うが、この作品自体もフィクションだというメタ的なものも見えた気がします。
いや、ほんまにそういう意図があったんかは知らんが。

だから私は推しました

警察の取調室で聖護院刑事の取り調べを受ける遠藤愛は、瓜田勝がマンションから転落するまでの経緯を仔細に語り始める。

1年2か月前の2018年4月、生命保険会社に勤める30歳間近のOLの愛は友人たちの中で「イイネ」を求めてリア充を装う日々を過ごしていたが、そんな姿が見苦しいと婚約者の蓮沼恭介に振られてしまう。失意の中で愛はスマホを落とし拾い主の小豆沢大夢に会うためライブハウスを訪ねると、そこでは地下アイドルグループ「サニーサイドアップ(サニサイ)」のライブが行われており、歌もダンスも下手で1人だけ異質な存在のメンバー・栗本ハナに自分の姿を重ね合わせた愛は思わずステージ上のハナへ罵声を浴びせ、他のファンから迷惑な入場者“厄介”の烙印を捺される。八つ当たりを反省し謝罪しようと再びライブへ足を運んだ愛は、ハナの逃げずに前に進もうとする姿勢に胸を打たれ、ハナを全力で応援することを決意する。

Wikipediaより)

よるドラ第三弾にして、最高傑作かもしれない。
第46回放送文化基金賞番組部門テレビドラマ番組優秀賞受賞作です。

地下アイドルにハマったドルオタOLと推された地下アイドルの心理模様を描いたサスペンスドラマ。
これが本当に怖い。恐怖。
低賃金で事務所から売られ金銭的援助を受けているストーカーに狙われているアイドル。
そんなアイドルにハマり、闇の部分まで足を突っ込み始めるOL。
演出、脚本、役者の演技、全部にリアルさがあって怖い。
アイドルという一見キラキラしたものがテーマだからこそ闇が強く見える。
その怖さで「来週も見たい!」とさせてくれる良作。面白かった。
現代人にとっての”承認欲求”の在り方が根本にあり、サスペンス的にも犯人は本当に愛なのか?どのような経緯で?と謎が紐解かれていく経緯もわくわくぞくぞくさせてくれましたね。

 

怖い展開だったもののラストは私的に好きな感じだったのでそれも評価ポイントでした。

決してマネしないでください。

工科医大理工学部の学生・掛田理(小瀧望)。幼いころから筋金入りの科学少年で、興味のあることだけに没頭する変わり者の掛田くんは、大学に入ってからも恋愛などには無関心。何事にも科学的な理解を求めるため、恋愛という理論立てできない現象は苦手。そんな彼が学生食堂のお姉さん・飯島さん(馬場ふみか)に恋をする。食堂のボヤを消火器で消し止めた飯島さんの雄姿が、掛田くんの心をとらえたのだ。果たして掛田くんの恋は成就するのか? 実験と検証を繰り返し、掛田くんの一風変わった恋の努力が始まる!

公式サイトより)

たまにはこういうのもいいじゃん!
そんな感じのラブコメドラマです。
原作は蛇蔵さんの漫画「決してマネしないでください。」

ずっと面白い。笑える。しかもちょっと勉強になる。
主人公の掛田くんをめっちゃ応援したくなってしまう。
めちゃくちゃモテそうなイケメンであるはずのジャニーズWEST小瀧望氏がマジでモテなさそうな掛田くんを演じ切ってるのもすごい。
本当にモテなさそう(失礼)(褒めている)

 

途中途中に挟まる偉人紹介のシーンが斬新で、そこに私はよるドラらしさを見出しました。
1年よるドラ見続けてこの辺で「よるドラっぽい」ってものを感じるようになりました。

 

突然ですがここで「よるドラあるある」

  • 最終回前でびっくりするくらいの急展開きがち
  • ラストシーンは皆まで言わない
  • そうはならんやろ、となってもよるドラなので許しがち

伝説のお母さん

物語の舞台は、誰もが夢中になったあのロールプレイングゲームRPG)を彷彿とさせる世界。そこに生きる“伝説の魔法使い”メイは、8ヶ月の赤ちゃんを育てる新米ママだった!
出産後初のドラマ主演となる前田敦子が、家事に育児に冒険に奮闘するメイ役をリアルに演じます。
待機児童にワンオペ育児…“無理ゲー”な問題山積みの子育てを“ファンタジーなのにリアル”に描く、「RPG子育てストーリー」!!(公式サイトより)

前田のあっちゃん育休復帰後初ドラマ。
原作はかねもとさんの漫画「伝説のお母さん」

 

見始めると1話から暫く主人公メイの夫であるモブくんが嫌いになります。
ただ、そのモブくんがいるからこのドラマのテーマである現代社会の育児の現状がキャッチーに描かれていると思うのです。だかたちったあ間我慢してくれや…。


ワンオペ育児をする主人公。
子供はいらないという彼女と子供が欲しいと望む彼氏。
なによりも仕事が第一だというお母さん。
そんな人間界の様子を見る魔界の人たち。
魔界の育児環境が人間界よりはるかに良かったりするのもポイント。
人と人は協力して子供を育てることができるのか。
何かを得るためには何かを捨てなくてはいけないのか。
ギャグタッチながら現代社会に蔓延る育児への風刺作品になっています。

いいね!光源氏くん

千葉雄大扮する“光源氏”が出現!?

原作は女性コミック誌で連載中の同名人気コミック。「源氏物語」の中で、雅の世に生きていた平安貴族・光源氏が、まったく世界観の違う現代に出現。あたりまえに見える現実世界とのギャップに驚いたり、楽しんだり・・・また、光源氏は千年もの間、絶対的美男子として数多くの女性たちをトキめかせてきた登場人物。こんな光源氏をヒモ同然のように住まわせることになる、地味で自分に自信がない今風のこじらせOL・沙織。はじめは違和感を覚えつつも、徐々に光の存在に癒されていく。そんな矢先、ふたりのもとに新たな源氏物語の登場人物、あの中将まで現れて!?奇想天外ながら、ゆる~く笑える千年の時を越えた“いけめん”居候コメディ!!(公式サイトより)

 ギャグ全振りかと思いきや最後には切なさもあるラブコメディ。


源氏物語というフィクションの中の人物がタイムスリップして現代にやってきた、というトンデモ展開。
光源氏の現代へのなじみ方がすごい。
適応能力が高すぎる。
そしてこんなようわからんやつ(光源氏)を居候させる沙織の器もデカい。それとも惚れた相手には弱いのか。


フィクションの人間が自分がフィクションの人間だと気付いたとき、その人はどういう気持ちなのか。
そんなこと考えたこともなかったので、そこに着目したのがすごいなと。


笑って泣ける、構えず見ることができる気がする。
よるドラどれ見たらいいか分からない!って方は初めにこれ見てみるのもいいかもしれない。
よるドラらしいぶっ飛び展開もありながら、万人にウケそうなお話だと思います。

私は好きです。

彼女が成仏できない理由

漫画留学で日本に来たエーミン。入居を決めたアパートには、一癖も二癖もある訳アリな住人たち。そして何よりもエーミンの部屋には、色白で黒髪の幽霊(玲)が!!!! 幽霊と共同生活を始めることになり…(公式サイトより)

主演は森崎ウィンさんと高城れにさん。
キャラクターはよるドラ史上最も多国籍で、実際にミャンマー出身の森崎氏によるミャンマーの言葉でのセリフも要所要所に散りばめられていました。

最初は霊と男子学生との切ないラブコメか…!?
と思わせておいて突然のSF展開がやってきたりする。
ぶっとびまくりな展開です。

主人公が漫画家志望と漫画家ということで、漫画による演出も目立っていましたね。
終わり方は「玲~!良かった~!」って感じで綺麗なハッピーエンドでした。
そこで終わり、ではなく、ここからまだ続く、というような感じで。

閻魔堂沙羅の推理奇譚

閻魔堂の沙羅は、死者を天国に送るか地獄行きか決める、あの世の裁判官。彼女のもとにやってくるのは、誰かに殺され、現世に思いを残してきた亡者たち。

生き返りたいと訴える彼らに、沙羅が持ちかける。「じゃあゲームする? 自分自身で推理して、犯人を見事言い当てることができたら、生き返らせてあげます。名付けて『死者復活・謎解き推理ゲーム』。不正解なら地獄に落ちてもらいます」

亡者たちは生き返るために、必死に死ぬ前の状況を思い出し、推理をしていくが、事件の真相だけではなく、生前の自分の生き方についても様々な思いを巡らせる。そして、精一杯生きる覚悟を決めることで自分の人生を変えていく。(Wikipediaより)

 

オムニバス形式の作品なので大体何話からでも見ることができます。

死者が自分を殺した犯人を自分で探すという新感覚ミステリー。

被害者は天国行きを約束されたような心優しい青年から始まり、殺人犯の娘である殺人犯で終わる。
優しく始まってどんどん闇に引きずり込むような構成でしたね。
最終回は第一話とは全く違う雰囲気のものになっていました。


平等な制裁が与えられるあの世、閻魔堂でこそ描ける人の生き方だなぁと思いました。
死から生を見るという全8話ながらなかなか濃密なドラマ。


そしてR-指定めちゃくちゃ演技上手い。

ここは今から倫理です。

高柳(山田裕貴)はミステリアスで風変わりな倫理教師。逢沢いち子(茅島みずき)は校内での男友達との情事をとがめられたことをきっかけに高柳に心惹かれる。そして男友達との心ない性交を拒絶したいち子に、高柳は愛と教養についてのマックス・シェーラーの言葉を贈る。いち子に真剣に向き合う高柳に感化された谷口恭一(池田優斗)は自分の様ないじめられっ子を救う“いい先生”になりたいと高柳に告げる。しかし高柳の答えは…(第一話あらすじ/公式サイトより)

今月最終回を迎えたドラマであり、土曜よるドラ最後のドラマです。

原作は雨瀬シオリさんによる同名漫画。

 

主人公である高柳は生徒たちに”倫理”という手段を使って接し、教えているが、それは報われるときも報われないときもある。
しかしその教え子たちは別の場所で別の生徒と繋がることでまた新しい世界を得ていくという人物の描き方が丁寧だなと思わせてくれる作品でした。

高柳自体完璧な人間ではないところもポイントのひとつ。

 

今までのよるドラに多かったトンデモ展開もなく、最初から最後まで「倫理」という一つのテーマを以って突っ走っていきました。

よるドラお得意の”皆まで言わないエンド”はこの作品でも健在でしたが、この作品は特にその終わらせ方に強い説得力があったように思えます。
自分で学び考えることが如何に重要か。
「倫理」という授業だからこそ伝わることがあった、本当いいドラマでした。

 

 

というわけでよるドラ全作品を振り返って行きましたが、やっぱ私よるドラ大好きだなと気付かされましたね。
こんな全作品「おもろ!」って思うことそうないですよ…。
あくまで私はですけど。

 

4月からは月曜夜10時45分に移動し、「きれいのくに」という作品が始まります。
どんな作品になるか、枠を移動してもよるドラ節は健在なのか、今から結構楽しみです。

 

それでは今回はこれまで。

 

おわり